胃がんリスク検診

「渡辺謙さん、早期胃がんで手術」のニュースを聞いて思うこと  早期胃がん発見は「奇跡」であってはいけません。

先日、渡辺謙さんが人間ドックで見つかった早期胃がんで手術を受けたとの報道がありました。

以下、朝日新聞デジタルから引用です。

俳優の渡辺謙さん(56)が、早期の胃がんで内視鏡手術を受けていたことが9日、分かった。
所属事務所がファクスで発表した。渡辺さんも自筆で「先日受けました人間ドックで早期の胃癌(がん)を見つけて頂きました。
幸い早い段階のものでしたので早々に手術を受け、現在療養させて頂いております」と報告した。

 (一部略)

■コメント全文
 私渡辺謙は先日受けました人間ドックで早期の胃癌を見つけて頂きました。
幸い早い段階のものでしたので早々に手術を受け、現在療養させて頂いております。
関係各位の皆様、諸々スケジュールの変更等御迷惑をおかけ致しました。
無理は禁物ではありますが舞台に向けて鋭意準備を重ねております。
NYの公演のスタートが少々延びますこと御理解頂けたら幸いです。

平成二十八年二月九日 謙
(引用ここまで)

 なんでも、渡辺謙さんの奥さんの南果歩さんのすすめで人間ドックを受けて、胃がんが見つかったとのことで、治療ができてよかったと思います。

 胃がんの検査は、「バリウム造影検査」 か、「胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)」でおこなわれますが、おそらく渡辺謙さんは胃カメラを受けて、早期胃がんの病変を発見されたのだと思います。
 なぜなら、バリウム造影検査では、比較的大きな胃がんを見つけることができても、早期胃がんのような粘膜にわずかな変化があるだけの小さな病変を見つけることはできないからです。
 また、内視鏡で治療を受けたとのことであり、早期胃がんに対して胃カメラで「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」を受けられたのだと思います。

 ESDが一般的になるまでは、早期胃がんであっても、開腹や腹腔鏡を使って手術で胃切除を行わなければなりませんでした。
しかし現在では、内視鏡技術の進歩により、粘膜の中に病変が限局しているような早期の胃がんであれば、比較的大きい病変でもESDができるようになっています。

 また、渡辺謙さんは「この段階での発見は奇跡、点検は大事ですわ」とも、言っています。

 でも、このこの点については、医師として意見を言わせていただきたいと思います。
確かに今まで人間ドックや健診を受けていなかった方や、たまにしか受けていなかった方にとっての早期胃がんの発見は、「奇跡」かもしれませんが、定期的に胃カメラで検査を受けていれば、早期胃がんの発見は別に珍しいことではありません。

 通常胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎のある粘膜に発生します。
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎は胃がん発生の高リスクとなりますので、胃カメラを1年毎に定期的に行っていくことで、たとえ胃がんが見つかっても早期で発見・治療することが可能となります。
特に狭帯域光観察や拡大観察ができる内視鏡は、早期胃がんの発見に有効です。
 
 しかし、胃がん検診で全例で胃カメラを行うことは、時間・費用の面から非効率的であるため行われていません。
そこで、胃がんリスク検診(ABC検診)が注目されています。
胃がんリスク検診でリスクが高い、現在ピロリ菌の感染がある(またはかつて感染があった)、萎縮性胃炎を伴う方を中心に胃カメラを行うことで、効率的に胃がんの早期発見ができるはずです。

 この報道を機に、胃がんの早期発見のため、検診受診の機運が高まることを期待したいです。

 いまや胃がんは、早期発見ができれば死亡する病気ではありません。
 50代以上のピロリ菌の保有率が高い世代の方には、ぜひ「胃がんリスク検診」や「胃カメラによる検診」を受けていただきたいと思います。

 垂水区近郊にお住まいの方で、胃がんリスク検診(ABC検診)をご希望の方は、当院でどうぞ。