日本で肺炎でなくなる方の95%以上が65歳以上の高齢者です。また高齢になるほど重篤化しやすく死亡率が高いことがわかっています。
肺炎は風邪を引いていたり、糖尿病や慢性の心臓病や呼吸器疾患でもともと免疫力が低下していたりする方で、細菌が肺に侵入して生じることが多いです(細菌性肺炎)。
その原因菌として一番頻度が多いのが肺炎球菌で、肺炎球菌ワクチンは高齢者の肺炎予防に最も有効な手段と考えられています。
現在肺炎球菌ワクチンには
ニューモバックスと
プレベナー13の2種類があります。
では、ニューモバックスはどのような特徴があるのでしょうか?
ニューモバックスは「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン」と分類されます。
「23価」とは、肺炎球菌のサブタイプのうち23種類の成分があるという意味です。
(肺炎球菌には約90種類のサブタイプのがありますが、ニューモバックスの23種類で大部分をカバーしています。)
「莢膜ポリサッカライド」とは、細菌の周りを覆っている膜(莢膜)の菌体成分のことを言います。
つまり、簡単に言うとニューモバックスは「23種類の肺炎球菌の膜の成分に対しての抗体を作るワクチン」です。
この「莢膜」は多糖体といって、比較的単純な構造の糖が連続して構成されていますが、このような単純な構造の成分に対しては、体内で抗体を作るための免疫応答が弱いことが知られています。
このため、ニューモバックスを接種すると一度抗体(B細胞というリンパ球が作る)ができても免疫応答が弱いために十分な抗体の量が体内で保つことができないため、
5年おきの再接種によって抗体を維持していくことが必要となります。
現在は65歳の方に、肺炎球菌ワクチンのニューモバックスに一生に1回の定期接種の制度があります。
(2023年度まで実施していた経過措置は終了しました。)
接種期間は以下の方です。
・65歳の誕生日の前日~66歳の誕生日の前日
定期接種の対象の方には神戸市からハガキが届きます。当院で接種を希望の方は、受付でお申し出いただくとワクチンを取り寄せます。
ワクチンが入荷しましたら、当院から電話にて連絡させていただきますので、案内のはがきを持参のうえで受診していただきき、接種を行います。
(案内はがきが届いた方でも、
過去に肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)を接種した方は定期接種の対象外となりますのでご注意下さい。)
価格:
定期接種の対象 ¥4,000 (税込み、一部減免措置のある方があります。) 自費(定期接種以外) ¥8,200 (税込み) 価格は予告なく変更の可能性があります。
また、もう一つの肺炎球菌ワクチンである
「プレベナー」は、現在定期接種ではありません。
肺炎予防を確実にするために、
当院ではニューモバックスとプレベナー13の併用をおすすめしています。
過去にプレベナーのみを接種された方は、ニューモバックスの定期接種を受けることが可能です。
ご不明な点があればお気軽におたずね下さい。