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日本消化管学会学術集会(姫路)に参加しました。

2020/2/19
日本消化管学会学術集会2020
 2020年2月8日日本消化管学会の学術集会が姫路でありましたので参加しました。午前の診療後すぐに会場入りし、土曜日の午後のみの短い時間でしたが、教育講演とワークショップに参加しました。

 教育講演は、「潰瘍性大腸炎の治療」・「胆汁代謝と便通異常」・「健診でみつかる上部消化管疾患」について聴講しました。今回は会場が全体的に狭く、満員のため立ち見でしたので、すこし辛かったです。
 潰瘍性大腸炎は腹痛・発熱・下痢・粘血便を生じる自己免疫病で国の難病に指定されていますが、日本では総数で20万人を超える比較的多い疾患です。症状がつよい中等症・重症の場合はこれまでステロイド治療がスタンダードでしたが、ステロイドが効きにくい症例(ステロイド抵抗性)やステロイドを減量すると再発し減量困難な症例(ステロイド依存性)が以前より問題となっています。以前からある薬剤に加え、最近は免疫調整薬や生物学的製剤が多数発売され、治療の選択肢は増えており、「臨床的症状の改善」から一歩進んで「内視鏡的粘膜治癒」を目指すことができるようになってきています。病状を把握するためのバイオマーカーの進歩も進んできており、これまでよりも体の負担が少なく検査・治療が行えるようになっています。潰瘍性大腸炎は治療薬剤の選択肢が多いゆえ、治療ガイドラインのシェーマ図は地下鉄の路線図に例えられるほどですが、講演では最新の治療・の概要が解説され、知識の整理ができました。
 胆汁は肝臓から小腸へ分泌される消化液ですがその成分の胆汁酸はほとんどが回腸末端で再吸収され、門脈を通り肝臓に戻ります(腸肝循環)。この再吸収される胆汁酸が腸管で多くなると便秘を生じやすく、再吸収が少なくなると下痢を生じます。胆汁酸と消化管の関わりに関して理解ができました。
 健診での胃内視鏡の際に見つかる「好酸球性食道炎」「自己免疫性胃炎」「逆流性食道炎」についての講演も興味深いものでした。
 いずれも今後の診療の場で必要とされる内容ばかりです。今後も自己研鑽を積んでまいります。

当院での内視鏡の感染予防対策をご紹介します。

2020/2/9

内視鏡後の洗浄・消毒の手順について

内視鏡検査で近年問題になっているのが内視鏡を介した細菌感染です。当院では細心の注意をはらい、内視鏡による感染ゼロにすべく徹底した洗浄・消毒を行っています。

内視鏡終了後の洗浄・消毒は以下の手順で行っています。
1.検査終了直後には洗浄液を管路内に吸引し、内視鏡表面についた汚れをアルコールで拭き取ります。
2.流しで用手的にスコープを中性洗剤で洗浄し、内視鏡チャンネル内を丁寧にブラシで汚れを落とします。
3.内視鏡自動洗浄機(カイゲン クリーントップKD-1)にセットし、強酸性水を用いて洗浄・消毒を行います。
なお処置具はディスポーサブル製品は使用後速やかに廃棄処分します。リユース製品は超音波洗浄機でムラなく洗浄後、高圧蒸気で滅菌消毒を行います。

内視鏡自動洗浄機の紹介

当院で採用している内視鏡自動洗浄機 カイゲン KD-1は以下の特徴を持っています。
1.アルカリ洗浄による有機物除去
アルカリ性の洗浄液を全浸漬させることで、用手的に除去できなかった有機物を除去します。有機物が残っているとこのあとの強酸性電解水の滅菌効果が減弱するので大事な工程です。
2.強酸性電解水による消毒・滅菌
専用の食塩水を電気分解することで、陽極側はpH2.7以下の強酸性となり次亜塩素酸が産生されます。これを内視鏡にシャワーのように吹きかけることで細菌を滅菌・消毒を行います。MRSA、大腸菌、抗酸菌、真菌、ウイルスなど広範な微生物に有効です。一般細菌だけでなく、結核菌といった抗酸菌に対しても、強酸性電解水は完全な殺菌効果が認められています。またKD-1には強酸性電解水のスペックモニタリング機能が備わっており、消毒中に強酸性電解水のスペックが、消毒レベルを満たしているかを自動で検知することができます。内視鏡の消毒が終われば廃液は不活化され、環境を汚染することなく排出されます。


内視鏡自動洗浄機

新型コロナウイルス対策について

2020/2/17
(この記事は2020年1月31日に記しています。その後の感染の発生状況や診断・治療といった医学的内容・行政の対応については変化しうる内容です。当面の間随時更新します。)
(追記:2020年2月5日「行政の新型コロナウイルスに関する相談窓口のご案内」を追記しました。)
(追記:2020年2月7日「当院での対応について」「行政の新型コロナウイルスに関する相談窓口のご案内」を追記・変更しました。)
(追記:2020年2月14日「当院での対応について」を追記・変更しました。)
(追記:2020年2月17日「当院での対応について」を追記・変更しました。)

日本での新型コロナウイルス感染の現状

新型コロナウイルスによる肺炎が日本でも見られます。この記事を書いている2019年1月31日時点では日本での感染者の数は限られており、兵庫県での発生はありません。しかし、感染に対して何も対策を取らなくていいわけではなく、正しい知識を得た上で、適切な対応を行う必要があります。
新型コロナウイルスについての情報(医学的な内容や行政としての対応など)は日々変化しますので、あえてこのブログに記載することはいたしません。厚生労働省のサイトに記事やリンクがまとめられていますので、参照していただきたいと思います。
また神戸市は臨時の相談窓口を設けています。

新型コロナウイルスの感染を防ぐ方法は?

コロナウイルスの感染予防は、インフルエンザ予防とほぼ同一と考えて良いでしょう。
具体的には次のとおりです。
1.手洗いの徹底:石鹸を使い流水で手先から手首まで30秒以上かけて洗い流す
2.咳エチケット:咳が出る際にはマスクをする。マスクがない場合は咳が出た際には手で口を押さえず、肘やティッシュペーパーで口元をカバーする

また、普段から栄養管理で、免疫を強くすることで感染予防ができます。インフルエンザの予防と同一と考えられますので、【ブログ:インフルエンザ予防になる栄養素とは?】の記事を参考にしてください。

当院での対応について

厚生労働省から、「新型コロナウイルス感染症に対応した医療体制について」という通知に基づき、神戸市に「新型コロナウイルス感染症 神戸市帰国者・接触者相談センター」が設置されました。当院ではそれに基づき対応を行います。発熱・呼吸器症状がある方で、新型コロナウイルス感染の疑いのある方は直接診察できませんのでご了承ください。

以下に当てはまる方は、直接受診せず「神戸市帰国者・接触者相談センター 電話 078-322-6829」へ相談を行ってください。
(1)発熱または呼吸器症状があり、新型コロナウイルス感染症確定患者と濃厚接触歴がある 。
(2)37.5℃以上の発熱と呼吸器症状があり、発症14日以内に中国湖南省または浙江省に渡航または居住していた。
(3)37.5℃以上の発熱と呼吸器症状があり、「発症14日以内に中国湖南省または浙江省に渡航または居住していたもの」と濃厚接触がある。
(4)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
(5)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
※ 高齢者や基礎疾患等のある方は、(4)(5)の状態が2日程度続く場合

直接来院されますと、院内感染につながる可能性があります。ご協力をよろしくおねがいします。

行政の新型コロナウイルスに関する相談窓口のご案内

行政では新型コロナウイルスに関する相談に応えるため、電話による相談窓口を設置していますのでご利用ください。

・神戸市垂水区保健センター(平日9:00-17:30) 電話 078-708-5151
・神戸市 土日・祝日専用の電話相談窓口(9:00-17:30)(臨時)電話 078-322-6250
・兵庫県(疾病対策課)相談窓口 (平日9:00-17:30) 078-341-7711(内線:3296)
(休日及び夜間17:30~翌9:00) 090-3265-8583
・厚生労働省 (平日・土・日9:00-21:00)  電話  0120-565-653(フリーダイヤル)

日本成人病(生活習慣病)学会に参加しました

2020/1/14
日本成人病(生活習慣病)学会学術集会
東京で日本成人病(生活習慣病)学会の学術集会が開かれましたので1月12日に朝から夕まで参加してきました。いくつかのセッションに参加しましたが印象に残ったのは午前中の不整脈の一つである心房細動に関することです。
心房細動は放置すると血栓を生じ脳梗塞を生じることがあるため早期発見・早期治療が必要な疾患です。薬剤治療やカテーテル治療(アブレーション)、自動血圧計を用いた早期発見の知見や未病段階での治療介入の可能性の研究など、興味深い内容でした。
明日からの日常診療に役立てたいと思います。

昼間に40分ほど時間がありましたので、会場から歩いて5分の場所にある清水谷公園へ行きました。
ここは明治維新で活躍した維新三傑の一人である大久保利通が明治11年に暗殺された場所のすぐ近くです。(紀尾井坂の変)
公園には大きな哀悼碑が建てられており、きれいに整備されていました。
その後すぐに学術集会の会場に戻りましたので僅かな時間の滞在でしたが、日本の近代化に貢献した人物が志半ばで無念の死を遂げた場所を想像して歩いてみると、感慨深いものがありました。

大久保利通哀悼碑説明文大久保利通哀悼碑

1月はノロウイルスの胃腸炎に要注意!!

2020/1/15
皆さんは食中毒による胃腸炎を起こす季節としていつが思い浮かぶでしょうか?
夏場の熱くて湿気の多い季節を思い浮かべる方が多いかもしれません。食中毒を起こす原因として、夏場は細菌によるものが多いですが、冬の寒い時期にはノロウイルスによる食中毒に要注意です。

ノロウイルスの胃腸炎による食中毒の発生状況

ノロウイルス胃腸炎による食中毒件数
ノロウイルスによる食中毒発生状況
(政府広報オンラインより引用)
上のグラフは月別のノロウイルスによる食中毒の発生状況を示しています。これを見ると冬の1月から3月の寒くて乾燥した時期に感染が圧倒的に多いことがわかります。2019年の12月には埼玉県を合宿のため訪れていた高校サッカー部員44人が、腹痛などの症状を生じ、ノロウイルスによる集団食中毒であったことが報道されています。ノロウイルスの胃腸炎は家庭内だけでなく飲食店などで集団発生することがあり、冬の時期に最も警戒すべき感染症の一つです。

ノロウイルス胃腸炎の症状・治療は?

ノロウイルスによる胃腸炎は他の感染性胃腸炎と同様に、下痢・腹痛・嘔吐といったものですが、以下のような特徴があります。
・下痢:腹痛を伴う水様性の便が頻回に排便されるため、脱水症を起こしやすい
・嘔吐:突然の嘔気や嘔吐を生じる
・発熱:38度以上になることもある
症状消失後も長期(7日から30日程度)に渡り、便からウイルスが排泄される

治療は、お粥やうどんといった軽めの消化の良い食事にとどめ、腸管安静を図ります。嘔吐・下痢が強く脱水症を生じやすいためスポーツドリンクや経口補水液を少量ずつ頻回に飲用します。医療機関では脱水が強く経口摂取が不能な場合は点滴が行われます。ウイルスが原因なので抗菌薬は無効です。整腸剤や症状に応じて解熱剤や制吐剤が処方されます。

ノロウイルス胃腸炎の感染経路は?

ノロウイルスによる食中毒の原因で最も多いのは調理を担当する人による二次感染です。ヒトの便の中にノロウイルスがいても、必ずしも症状が出ない場合があり、この状態を不顕性感染といいます。不顕性感染のヒトの便1g中には数億個のウイルスが含まれていることがあり、排便時の手洗いが不足していると、汚染された手で調理をすることで調理器具や食材を扱うことで、容易に感染が広まってしまいます。ノロウイルスは10~100個程度でもヒトの腸管で増殖し、感染が広まります。
不顕性感染の人から広まる二次感染以外にも感染経路があります。カキ、ハマグリ、アサリなどの二枚貝にもノロウイルスが含まれていることがあり、それを食事で食べることで感染することがあります。
また、感染者の吐物にもノロウイルスが含まれており、それを処理した人がノロウイルスを吸い込み感染を生じる(飛沫感染)こともあります。ノロウイルスは乾燥に強く、気温4度では約2ヶ月間、気温20度では約1ヶ月間環境にとどまると言われています。
ノロウイルスは感染者の便から排泄され、下水から海へと流れ込み、二枚貝に蓄積され、それをヒトが摂取することで感染はひろまるといった具合に、環境の中で循環しています。

ノロウイルス感染経路

ノロウイルス胃腸炎を起こさないためには?

調理に携わる人は、普段から自分の体調に注意を払う必要があります。特に下痢や腹痛といった消化器症状がある場合は、ノロウイルスの感染を考え、調理を担当しないようにしましょう。また不顕性感染の場合もありますので、調理前の手洗いを徹底することや、まな板などの調理器具を熱湯で殺菌消毒を行う必要があります。
ノロウイルスは熱に弱いので、食材を中心部まで85度以上になるように加熱することでウイルスは死滅します。十分な加熱処理がノロウイルス感染予防のポイントです。
手洗いは、石鹸で指先から手首までむらなく洗ったあと、流水で60秒以上すすぐことで手についたウイルスの量を感染しない量まで減少させることが可能です。
ノロウイルス予防法

感染した人が嘔吐してしまったら・・・

吐物の中にもノロウイルスが含まれていますので、適切に処理してウイルスを排除することが大切です。以下の手順で行います。

1.吐物の処理の前に、感染予防のために両手に手袋・使い捨てのエプロン・マスクを着用し、素肌の露出を減らす
2.空気の流れを考え換気する
3.吐物を中心部に拭き寄せる
4.吐物とその周り(半径2m)に新聞紙を敷き詰める
5.次亜塩素酸ナトリウムが含まれた消毒液を上からかけて.拭き取り、ポリ袋に密封する
6.10分以上経過してから床を水拭きする
7.身につけていた手袋・エプロン・マスクも密封し処分する

消毒液の作り方は神戸市保健所のサイトを参考にしてください。

ノロウイルス嘔吐時の対応
ノロウイルス胃腸炎は強い消化器症状が出るだけでなく、二次感染を引き起こす事があるやっかいな病気です。手洗いや食材の加熱・調理器具の消毒・時間をかけた手洗いで予防が可能です。日頃から注意して感染予防に努めましょう。
お問合せはTEL: 078-781-1838
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