この記事ではインフルエンザの症状・診断・治療・予防法について記しています。
Q1.インフルエンザはどんな症状になるの?カゼとの違いは?
インフルエンザは冬に流行する、一度罹ると高熱が出て辛い病気です。インフルエンザもカゼもともにウイルスが病気を起こすことは共通しています。しかし、インフルエンザとカゼの症状はは似ているようで違いがあります。
カゼは鼻水・くしゃみから始まり、咳を伴う上気道症状です。発熱はないか、あっても微熱が出る程度です。肺炎などの合併症はまれです。
一方、インフルエンザは初期から38度以上の高熱があり、悪寒・頭痛を伴います。その後鼻水や咽頭痛を伴います。発熱は3〜4日ほど高熱が続くことがあります。小児では脳症を、高齢者では肺炎を合併することがあり重症化することがあります。
Q2.インフルエンザの流行する時期はいつ?
インフルエンザウイルスは、冬の乾燥した状態を好みます。例年12月から3月にかけての気温が低く乾燥した時期に流行します。これはウイルスが低温の乾燥した状態になると空気中に長く浮遊していられることから、ウイルスが死滅しにくいからです。
Q3.インフルエンザはどうやって感染するの?
インフルエンザは感染している人が咳やくしゃみをすることでウイルスが空気中に広がります。これを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。また、くしゃみや咳が付いた手でドアノブや乗り物のつり革などを触ることで感染します(接触感染)。また、空気が乾燥している状態ではウイルスが大気中に留まりやすく、それを吸い込んで感染することもあります(飛沫核感染)。
吸い込んだウイルスが鼻粘膜にくっつくと増殖し、呼吸器に感染が成立します。潜伏期間は24時間から48時間と言われており、極めて短時間で症状が出るのが特徴です。
Q4.インフルエンザウイルスのタイプで症状が違うの?
インフルエンザはA,B,Cの3タイプがあり、それぞれで症状に違いがあります。
1.A型インフルエンザ
3つのタイプの中で最も症状が強く、患者数が多いものです。変異を起こしやすく、世界的な流行になるものがあります。
【症状】
・38度以上の高熱
・咽頭痛や筋肉痛が強い
・重症化すると合併症(脳症・肺炎)を起こす
2.B型インフルエンザ
これまでは数年おきの流行でしたが、最近は毎年流行があります。インフルエンザシーズンの終わり頃に患者さんが増えます。
【症状】
・下痢・腹痛・嘔吐などの消化器症状を伴いやすい
3.C型インフルエンザ
軽症で済むことが多く、感染に気づかないこともあります。あまり流行しません。
特にA型インフルエンザは「新型インフルエンザ」「鳥インフルエンザ」「豚インフルエンザ」などが含まれ、一部に強毒性を持ちかかると致死的になるものがあり、世界的なモニタリングが行われています。
Q5.インフルエンザを予防するにはどうしたらいいの?
・
インフルエンザ流行前の時期の対策
・流行期の対策
・手洗いの徹底
インフルエンザにかかった人がつかんだ吊り革やドアノブなどに触れることで、手から口・鼻にウイルスが入り込むこと(接触感染)があります。こまめに手洗いを徹底することで付着したウイルスを洗い流すことができ、感染を予防できます。また手指のアルコール消毒も効果的です。
・部屋の加温・加湿
インフルエンザウイルスは低温で湿度が低いところで活動性を持ちます。部屋を加温・加湿(50~60%)することでウイルスは活動性が低下し感染しにくくなります。エアコンを使って暖房すると湿度が下がります。加湿器を併用したり、濡れタオルを部屋に干すことで加湿を行いましょう。
・人混みを避ける
なによりウイルスに感染する機会を減らすことで、感染予防となります。
・しっかりと栄養を取る
3度の食事をバランスよくしっかり摂ることで、栄養を十分に保ち免疫力が上げられます。ビフィズス菌の成分を摂取することで、ワクチンの効果をあげられたとの報告があります。また、ビタミンDもインフルエンザ予防に効果があります。ビタミンDは食事での摂取以外に、日光(紫外線)に当たることで体内で合成されます。日光浴もよいと考えられますが、あまり長時間にならないよう注意が必要です。
・マスクを着用
マスクをすることでウイルスの鼻や口からの侵入を防ぐことができます。
Q6.インフルエンザの診断はどうやってするの?
インフルエンザ流行期にQ1に示したような症状があればインフルエンザの可能性があります。医療機関での診断は、まず周囲の流行状況や症状から感染を推定します。また迅速抗原キットを用いることで約5~10分で診断ができます。迅速検査は鼻やのどの粘膜から鼻汁や咽頭液を採取します。
Q7.インフルエンザにかかった時の治療はどうするの?
インフルエンザにかかった場合は、栄養をとって自宅で休養することが大切です。発熱しますので、しっかり水分補給を行います。医療機関では解熱剤やインフルエンザ治療薬が処方されます。
Q8.インフルエンザ治療薬はどういうもの?
インフルエンザと診断されると、インフルエンザ治療薬が処方される場合があります。インフルエンザの感染するとウイルスはどんどん増殖します。これにより発熱しますが、インフルエンザ治療薬は時間が経つと効果がありません。インフルエンザ治療薬はウイルスの増殖を抑えることで効き目が出るので、発症まもないほど(48時間まで)であれば効果があります。患者さんの年齢や状態によって経口・吸入・注射薬が使い分けられます。
・ノイラミニダーゼ阻害薬
経口薬:オセルタミビル(タミフル)
吸入薬:ザナミビル(リレンザ)・ラニラミビル(イナビル)
注射薬:ベラミビル(ラピアクタ)
・キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬
経口薬:バロキサビル(ゾフルーザ)
それぞれの薬剤の添付文書には「抗ウイルス薬の投与がインフルエンザ感染症の全ての患者に対して必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を慎重に検討すること。」と記載されています。インフルエンザ治療薬はすべての患者さんに処方されるわけではありません。
Q.9インフルエンザにかかったあと、いつまで休んだらいの?
インフルエンザにかかった児童・生徒が自宅待機になる期間は法律(学校保健安全施行規則)で以下のように定められています。
「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで」
これまで神戸市立の幼稚園・学校では回復した後の登校前に医療機関を受診し、「治癒証明書」が必要でしたが、2019年シーズンから原則として不要となりました。(発熱が長引いている場合のなど医師の判断が必要な場合は従来どおり「治癒証明書」が必要です。)
なお、大人については法律による休職期間の定めはありません。職場の就業規則を確認のうえ対応を判断してください。