【日本の論文紹介】納豆を食べると死亡リスクが低下する!
2020/2/26日本人は納豆や味噌といった大豆発酵食品を日常的に食べています。「納豆は健康にいい!」と言われていますが、その知られざる健康パワーが最近明らかになってきています。
今回は、最近発表された日本人を対象に研究された論文をご紹介します。
納豆などの大豆発酵食品の摂取で、心筋梗塞などによる死亡のリスクがが低下する
国立がん研究センターから発表された日本人を対象とした研究論文をご紹介します。
この論文では「JPHC研究」という大規模なコホート研究から得られた成果をもとに発表されています。JPHCは日本人を対象に、いろいろな生活習慣とがん・脳卒中・心筋梗塞がどのように関わり合いを持っているかを調べた大規模な研究です。
健康食品として大豆は注目を浴びています。これまでにも納豆や味噌といった大豆発酵食品の摂取と血圧との関係や納豆の摂取と死亡リスクを研究した論文はありましたが、研究ごとに結果が異なるものもあり、一定の見解が得られていません。この論文では多目的コホート研究において、大豆食品、発酵性大豆食品摂取量と死亡リスクとの関連について検討されています。
循環器病になっていない人から5年間に得られたアンケート結果より、総大豆摂取量・発酵性/非発酵性大豆食品摂取量・各大豆食品(納豆・味噌・豆腐)摂取量を量別に5つのグループに分けて検討されました。その後約15年間の追跡期間の総死亡・がん死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡・脳血管疾患死亡)との関連を男女別に調べました。
結果をまとめると以下の通りです。
・総大豆摂取量と死亡率には男女とも相関がなかった
・発酵性大豆食品の摂取が多い人は男女とも死亡リスクが低かった
・各大豆加工食品のうち、女性では納豆・味噌の摂取量が多い人は死亡リスクが低かったが、男性にはその傾向がなかった。豆腐にはは男女ともに死亡率低下の傾向はなかった。
・死因別の検討では、いずれの食品もがん死亡低下の傾向はなかったが、循環器病の死亡率は男女とも納豆の摂取量が多いほど低下が認められた。特に、納豆を1日に50g以上摂取している人は摂取していない人よりも循環器病の死亡リスクが10%低かった。
引用 Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study
BMJ 2020; 368 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m34 (Published 29 January 2020)
Katagiri R1, Sawada N2, Goto A1, Yamaji T1, Iwasaki M1, Noda M3, Iso H4, Tsugane S1; Japan Public Health Center-based Prospective Study Group.
日本人の伝統的な食生活の中で、大豆発酵食品である納豆や味噌は欠かせないものです。日本人は納豆や味噌を多く摂る食習慣が死亡率を下げ、長寿につながっていることが示唆される研究です。特に納豆1パック(約50g)を毎日摂取することで、心筋梗塞などによる循環器病リスクが低下したという結果は、欧米化した日本人の食生活を見直すきっかけにしたいところです。