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便秘に効く食事療法とは?

2019/12/27
constipation
  便秘は高齢者のみならず働き盛りの世代にも悩んでいる方が多いポピュラーな病気です。
当院の消化器内科にも多くの便秘の患者様が来院されます
今回は便秘を解消するための食事について考えます。
(便秘の中でも高齢者に多い弛緩性便秘の食事療法を取り上げます。)

排便のメカニズム

便の中には体内で不要になった老廃物や、有害物質が含まれています。
ですから、便秘が生じるとこれらの体内の不要なものが蓄積される事になり、体調不良の原因となります。
では、便はどのようにつくられるのでしょうか?

 胃から小腸までで消化吸収された食べ物の残りカスは、水分が多くどろどろしています。
小腸から大腸に入ってきた内容物は約7割が水分で、残りが食物残渣や腸粘膜上皮や腸内細菌からなります。大腸まで内容物が到達すると、リズムよく徐々に肛門に向かってを送り出す運動が起こります。これを蠕動運動といいます。その過程で大腸の粘膜から水分が吸収されて内容物は固形化していきます。この過程で大腸の粘膜を傷つけないように粘液の分泌が起こります。
 このよううに、大腸でスムーズに便を作るためには蠕動運動粘液の分泌が充分に行われる必要があります。
この蠕動運動と粘液の分泌が充分でないと便秘の原因となります。

便秘を予防する食事(栄養素)とは?

  大腸の蠕動運動と粘液の分泌をしっかり行うためには、腸内細菌のバランスを整える必要があります。
腸内細菌は約1000種類の細菌がいると考えられています。偏った食生活をしていると、特定の腸内細菌だけが増殖してしまい、腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。すると蠕動運動の低下や充分に粘液の分泌が行われなくなり、便秘となります。便秘を改善するには腸内細菌のバランスを保つことが重要で、野菜・肉・魚・海藻類・発酵食品などをバランスよく取ることが必要です。

1.食物繊維

 食物繊維とは、「ヒトの消化酵素によって消化されない食物に含まれている難消化成分」の総称で、セルロース・ペクチン・キトサン・グアガム・グルコマンナンなどがあります。現在の日本では野菜の摂取が少なくなり、食事の欧米化が進んでいる現状があります。日本人が1日に摂取している食物繊維の量はだいたい15g程度で、快適な排便に必要な20gには達しておらず、多くの方が不足しているのが現状です。
 食物繊維は2種類あり、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられます。

 不溶性食物繊維ニンジン・ゴボウなどの根菜類や玄米・麦などの穀類、さつまいもなどのイモ類、大豆・小豆などの豆類に多く含まれます。食感はボソボソしたものが多く、自然とよく噛んで食べる食材です。胃や腸に入ると水分を含み大きく膨らむため、大腸まで運ばれると蠕動運動を促し排便につながります

 水溶性食物繊維昆布やわかめといった海藻類やキャベツ・大根などの野菜類、大豆や大麦・ライ麦等の麦類に多く含まれます。食感はネバネバしたものとサラサラしたものがあります。水分保持能力が強く、便をドロドロと粘りのある状態にします。腸内細菌によって分解され短鎖脂肪酸をつくる原料となります。短鎖脂肪酸は悪玉菌の増殖を抑え、腸内細菌叢を改善する働きがあります。

2.水

  厳密には水は栄養素とは言えないかもしれません。しかし食物繊維をいかに多く摂っていても飲む水分量が少なければ便は硬いままです。便秘の方には一日2リットル程度の飲水をおすすめします(ただし、心不全などの病気がある方は病気の悪化の可能性がありますので、主治医と相談が必要です)。お茶はカフェインの作用で利尿が促進されますのであまりよくありません。朝食後に冷たい水や牛乳・豆乳を飲むのが一番です。

3.油

  油を適度に摂ることも重要です。特に植物性油脂に多く含まれるリノール酸、リノレン酸、オレイン酸といった不飽和脂肪酸は、大腸での便の滑りを良くし、蠕動運動を促す作用があります。なかでもオリーブオイルは効果が期待できます。またスリゴマは食物繊維も同時に摂れるので良いでしょう。
  便秘にお悩みの方は、ぜひ食事を見直すことから始めていただきたいと思います。しっかりとした排便にするためには朝食を食べ、腸に刺激を与えることも大事です。余裕を持って起床し、しっかり朝食をとっていきましょう
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