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【Google doodle】3月20日 センメルヴェイス・イグナーツの手洗い提唱を称えて

2020/7/6
Google doodle
私はいつもPCに向かって仕事をしており、ネット検索を行わない日はありません。
ネット検索はもっぱらGoogleを利用しています。一日に少なくとも10回以上は検索を行っています。
その中で、先日気になったのがGoogle doodleの動画です。
Google doodleとは、祝日や記念日などにその日にあわせたデザインに変更された検索エンジン「Google」のロゴのことです。
3月20日に表示されていたのが、「センメルヴェイス・イグナーツの手洗い提唱を称えて」という動画です。
新型コロナウイルスの感染予防には手洗いが重要なことは知られていますが、このリンクのページではストップウォッチを持ったセンメルヴェイス・イグナーツが登場し、WHOのガイドラインに従った効果的な手洗いの手順が示されていす。
動画では手洗いの手順は以下の通りです。
まず、手を水で湿らせて、手の表面すべてをカバーできる量の石鹸を手に取る。
手順1:手のひらと手のひらをこすり合わせる
手順2:右手のひらを左手の上に乗せてこすり合わせる
手順3:指の間を洗う
手順4:親指と手のひらをねじり洗いする
手順5:手首を忘れずに洗う
最後に十分に流水で洗い流す。

センメルヴェイス・イグナーツの功績

医療の世界で感染防御の話がされるとき、必ずと言っていいほどセンメルヴェイス・イグナーツが登場します。
彼は「感染防御の父」と呼ばれています。
彼の功績は、手洗いを行うことで感染リスクが低下することを提唱したことにあります。
センメルヴェイスはハンガリーのブダ(ブダペスト)出身の産科医で、1844年に大学を卒業しています。1840年代はまだ細菌がわかっておらず、傷は可能することで治ると考えられていました。センメルヴェイスは、ウィーン大学の産科に勤務していた際に、産褥熱の予防法を発見しました。
医師がさらし粉で手を消毒することで、産褥熱の発生が低下し、手指の消毒が感染防御に役立っていること初めて示しました。
詳しくはBDのサイトを参照ください。
彼の考え方は当時の人々には受け入れられませんでしたが、彼の死後、コッホやパスツールによって細菌の存在が証明され、彼の功績は広く認められるようになっています。
彼の功績をたたえ、ビダペスト大学は創立200周年の1969年にセンメルヴェイス大学に改称されています。センメルヴェイス大学医学部は世界でもトップクラスの業績を持っています。

手洗いで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を予防しよう

今回のGoogleの動画は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防のために、WHOが提唱している手洗いキャンペーン(The safe hands challenge)と関連していると思われます。
たった3ヶ月足らずで全世界にひろまり、収まる気配のない新型コロナウイルスですが、予防にはまず手洗いが一番です。とくに外出先でのドアノブや電車の吊り革などには新型コロナウイルスが付着し、接触感染の可能性があります。また、食事の際に手についたウイルスを口から取り入れてしまう可能性もあります。外出からの帰宅時や、調理の前、食事の前はこの動画にあるように十分に時間をかけて手洗いを行うようにしましょう。

~時間栄養学を生活に活かそう~ (4)腸内細菌叢の日内変動と病気について

2020/3/16
バランスのよい腸内細菌叢
 今、新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)が話題になっており発症しないよう十分な対策が必要です。別のブログにも記載したとおり、予防にはしっかりした手洗いと、咳エチケットが重要です。

 手洗いが不足すると、新型コロナウイルスやインフルエンザ以外にもウイルスや細菌の体内への侵入を許してしまい、胃腸炎を生じることがあります。3月に入ったこの時期でも、胃腸炎症状で外来を受診される方が多いです。よく「腸の悪玉菌が増えてしまうので善玉菌が負けてしまい、腸炎をおこしている」といわれますが、そもそも腸内細菌とはどんな役割をしているのでしょうか?
今回の記事は、私達の腸管の中に住み着いている細菌(腸内細菌叢)と病気の関係、さらに体内時計により起こる腸内細菌叢の変化について考えようと思います。

腸内細菌叢と病気の関係

ヒトの腸管の中には100種類以上のさまざまな細菌が40兆個以上住み着いています。この腸管内に住み着いた多種・多様な細菌のグループのことを腸内細菌叢と言います。人の体の免疫システムは腸内細菌叢から様々な作用を受けています。
このようにヒトの腸管内に定着している細菌が、多くの臓器に相互に影響を及ぼしていることがわかってきており、ここ数年で腸内細菌叢に関する研究が非常に盛んになってきています。

(1)短鎖脂肪酸と腸内細菌叢の関係

食事で食物繊維やオリゴ糖を摂ると、腸内細菌叢の働きで腸管内で発酵・分解され、短鎖脂肪酸が作られます。この短鎖脂肪酸の増加は食欲の抑制やインスリン抵抗性の改善(少ない量のインスリンで効率よく血液から細胞内に糖分が取り入れられる状態)に繋がります。また短鎖脂肪酸の中でも酪酸は、制御性T細胞の誘導を起こすことで、体内の免疫系の調整に役立っています。また短鎖脂肪酸は腸管内を弱酸性に保つため、腸管免疫の制御にも関係しています。

(2)腸内細菌叢と腸管炎症の関係

炎症性腸疾患(狭義の意味でクローン病と潰瘍性大腸炎)は、腸管免疫の異常により腸管で慢性炎症が生じる難病です。炎症性腸疾患では腸内細菌叢のバランスが崩れ、存在する菌種の種類が数が少なくなることが知られています。また、ペニシリン系やセフェム系抗菌薬を使用した際に、腸内細菌叢が乱れ腸炎を起こすClostridium difficil感染腸炎は、再発を繰り返しやすく治療に難渋する病気です。健常者の糞便から得た腸内細菌をClostridium difficil感染腸炎の患者の大腸に移植する便移植療法が行われるようになり効果を上げています。潰瘍性大腸炎の患者に対して、抗菌薬投与後に便移植療法を行ったところ症状の改善があったとの報告もあります。またクローン病では Clostridium 属の減少による腸内環境の悪化が病態と関係があると考えられています。このように、腸内細菌叢の多様性の低下が腸管炎症と関係があると考えられます。

(3)腸内細菌叢と腸脳相関

腸管運動と脳は迷走神経を介して密接につながっており、これを「腸脳相関」と言います。強いストレスがかかると急に腹痛や下痢を生じる過敏性腸症候群という病気がありますが、これは「腸脳相関の乱れ」からくる疾患とも言えます。腸内細菌叢と腸脳相関の間にも関連があることがわかってきています。

(4)腸内細菌叢と神経疾患の関係

パーキンソン病の人は便秘を生じやすいことが知られていますが、短鎖脂肪酸の減少が病気を悪化させる要因と考えられており、腸内細菌叢との関係が示唆されています。その他、うつ病や慢性疲労症候群の方の腸内細菌はそうではない人と比較して腸内細菌叢のバランスが変化していることが知られております。

(5)腸内細菌叢と慢性腎臓病の関係

マウスの実験では慢性腎臓病を引き起こす尿毒素であるインドキシル硫酸やトリメチルアミンNオキシド(TMAO)は、腸内細菌叢が変化することで増加することもわかってきました。腸管と腎臓の間にも「腸腎相関」があると提唱されてきており、腸内細菌叢の変化は慢性腎臓病の発症とも相関があると考えられています。

(6)腸内細菌叢と心臓血管病の関係

TMAOの増加はマクロファージへのコレステロール蓄積を増加させ,血管内のプラークからのコレステロール引き抜きを減少させることで動脈硬化を進行させることが知られています。またTMAOは血小板凝集能を増加させることで血栓形成を促進します。腸内細菌叢の変化は心臓血管病の発症とも深く関与しています。

体内時計が腸内細菌叢に与える影響

これまで腸内細菌叢の変化が様々な病気に関係していることを記しました。時間栄養学について過去に記したブログにもるように、体内時計には親子の時計が存在します。親時計は脳下垂体の視交叉上核にあり、体内の末梢組織にはそれぞれ子時計が存在しており、腸管にも子時計が存在しています。最近の研究では、腸内細菌叢が体内時計の働きによって日内変動を生じていることがわかってきました。これについて基礎的な研究ではありますが、ご紹介したいと思います。

(1)日内変動をおこす腸内細菌叢

日常の食事の内容が変化したり、運動不足などさまざまな要因で腸内細菌叢の構成は変化します。また、一日の中でも腸内細菌叢の構成が変動を起こしています。ヒトの糞便ではバクテロイデス属で日内変動が確認されています。マウスでもラクトバチルス属やバクテロイデス属で日内変動があります。時間遺伝子をノックアウトしたマウスを用いた実験では、これらの日内変動が消失することがわかっています。また、高脂肪食を与えたマウスでは腸内細菌叢のバランスを変化させ、腸内細菌叢の日内変動のリズムを弱めることが報告されています。

(2)腸内細菌叢の日内変動のみだれが体に与える影響

時差ボケにより体内時計が乱れた時、腸内細菌叢の日内変動はどのように変化するのでしょうか。2014年にイスラエルで発表された論文では、実験的に時差ボケを生じたマウスの便や、遠距離の飛行機旅行にでかけた人の、旅行前・旅行中・旅行後の糞便を解析すると、時差ボケがない状態と比較して腸内細菌叢が大きく変化していました。とくに増加すると肥満を生じやすくなると言われているファーミキューテスの増加が認められました。このことから、体内時計を乱さないように規則正しい生活を送ることで、腸内細菌叢が安定し肥満を生じにくくすることが示唆されます。これらの研究結果は昼夜逆転がある人や夜勤で不規則な生活をしている人が肥満を起こしやすい理由の一つと言えるかもしれません

●まとめ

・腸内細菌は、様々な病気(消化管・心臓血管病、腎臓、神経疾患など)と関連がある
・腸内細菌叢の構成は一日の中で変化する日内変動があるが、高脂肪食の摂取は日内変動を小さくしてしまう
・昼夜逆転や時差ボケは腸内細菌叢の日内変動に乱れを生じ、肥満を起こす要因となる

コロナウイルス検査について思うこと(検査希望者の全数検査は行うべきか?)

2020/7/6
今回の記事は、新型コロナウイルスPCR検査について小さな内科診療所の医者が思うことを書いたものです。
コロナウイルスの最新のトピックスなどはありませんので最初にお断りしておきます。
(2020年3月11日 記事の表現を一部修正し、まとめを追加しました。)
まとめ
この記事を要約すると以下のようになります。
・新型コロナウイルス感染が広がってきており、PCR検査が行われるようになっている。
・「検査が広く行われないのはおかしい」といった、全例検査を主張する報道が見受けられる。
・臨床検査では「感度・特異度」を用いてその検査精度を評価されることが一般的で、感度が高い検査は除外診断に、特異度が高い検査は確定診断に有用である
・新型コロナウイルスに対するPCR検査は特異度は高いが、感度はそれほど高くない。よって、症状がある人に対しての確定診断に有用と考えられるが、症状がない人の除外診断には向かない。よって、接触歴や症状がある人を対象にPCR検査を行う基準は概ね妥当と考えられる。
・もし、PCR検査を対象を制限せずに検査希望者全員に行ってしまうと、医療現場は混乱し外来機能が低下してしまうことになり医療崩壊につながる可能性もある。正しい知識を身に着けて検査を行うべきである。
・新型コロナウイルス感染症に対して確立した治療はまだない。予防としては「手洗い」・「咳エチケット」・「人混みを避ける」・「発熱や風邪症状のときは自宅に待機する」・「毎日体温測定を行い体調管理を行う」といったことが挙げられる。
困ったドクター
日本に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がもたらされてから2ヶ月も経過していませんが、このところ急速に拡がりを見せており、収束の気配がありません。診断にはSARS-CoV-2に対するPCR検査が用いられています。今のところSARS-CoV-2の臨床診断を行うにはPCR検査しか方法がありません。このPCR検査をめぐって、テレビや雑誌といったマスメディアで「なぜ、希望者全員に検査させないのか!」といった感じで、いい加減な知識で発言を行う人が多いのが気がかりです。
テレビのタレントのコメンテーターが言う事ならまだ知識不足からくるもので仕方がないと思いますが、大学のセンセイの肩書を持つ人までいい加減なことを言っています。情報の受け手としては間違った情報を見分けて、それに騙されないように気をつけないといけません。

臨床検査の感度と特異度について

臨床検査を行うにあたって、感度と特異度の話を避けて通れません。どんな病気の診断を行う検査でも、100%の精度の検査は存在せず、一定の確率で間違った判断結果となることがあります。それを理解した上で、検査結果を評価しないといけません。ここで問題となるのが感度と特異度です。
Wikipediaによると感度・特異度は以下のように解説されています。
感度: ”医学における感度とは、臨床検査の性格を決める指標の1つで、ある検査について「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率」として定義される値である。感度が高い(高感度である)、とは、「陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する可能性が高い」、あるいは「陽性と判定されるべきものを間違って陰性と判定する可能性が低い」という意味である。"
https://ja.wikipedia.org/wiki/感度#医学における感度

特異度: "特異度(とくいど)とは、臨床検査の性格を決める指標の1つで、ある検査について「陰性のものを正しく陰性と判定する確率」として定義される値である。特異度が高い、とは、「陰性のものを正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「陰性のものを間違って陽性と判定する可能性が低い」という意味である。 "
"なお、検査に限らず、「Bという症状は、Aという疾患に特異的だ(特異度が高い)」という言い方をすることが可能である。この場合の意味は、「Bという症状があれば、Aという病気がないのに誤ってAであると診断してしまう可能性が低い」という意味、すなわち「Bという症状があればAを強く疑ってよい」という意味で使われることが多く、逆に言えば「Bという症状がないからAという病気はない可能性が高い」と言っているわけではない。厳密にはこのような文脈で言う特異度とは陽性予測度であり、こういう文脈で使われる特異性・特異度は、検査における特異度の概念とは異なっている。 一般的には、感度が高いと除外診断(rule out)に有用であり、特異度が高いと確定診断に有用である。"
https://ja.wikipedia.org/wiki/特異度
この最後の「感度が高いと除外診断(rule out)に有用であり、特異度が高いと確定診断に有用である」が大事です。
では一番身近な迅速検査であるインフルエンザについて考えてみましょう。
ある報告ではインフルエンザ迅速キットの感度・特異度はそれぞれ62.3%,98.2%と言われています。つまり、感度はまあまあですが、特異度が非常に高い検査と言えます。よって、除外診断にはあまり向かず、確定診断に有用な検査となります。(乱暴な言い方をすればインフルエンザキットで陽性ならほぼ間違いなくインフルエンザと言えるが、陰性でもインフルエンザでないとは言い切れない、と言う結論。)

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査を感度・特異度から考えると?(全数検査を行ってはいけない理由)

SARS-CoV-2のPCR検査の感度・特異度はまだ十分にわかっていないところが多いですが、
感度:30-40%(高くても70%ほど)
特異度:90%
であるようです。

これをもとに考えると、感度は低く、特異度が高い検査と言えます。つまり、除外診断には向かず、確定診断に有用な検査となります。
よって、発熱・呼吸器症状といった臨床症状がある人(事前確率が高い人)のSARS-CoV-2の確定診断には有用であるが、単に接触しただけで症状がない人の除外診断には向かないと言えます。

なお、現在の「帰国者・接触者外来の受診の目安」(PCR検査を行う目安とも言えるでしょう)は、以下のとおりです。

(1)発熱または呼吸器症状があり、新型コロナウイルス感染症確定患者と濃厚接触歴がある 。
(2)37.5℃以上の発熱と呼吸器症状があり、発症14日以内に新型コロナウイルス流行地域に居住していた。
(3)37.5℃以上の発熱と呼吸器症状があり、「発症14日以内に新型コロナウイルス流行地域に渡航または居住していたもの」と濃厚接触がある。
(4)風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている。(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
(5)強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。

つまり現在の検査の対象者は臨床症状がある事前確率の高い人となっています。
すでに記したとおり、SARS-CoV-2のPCR検査は感度が低く特異度が比較的高い検査であり、確定診断に有用と考えられますので、現在の臨床症状で検査を対象とするかどうかを決めていること(確定診断に目的に検査を行うこと)は理にかなっていると考えます。
(この臨床診断の基準が適切かどうかは別ですが・・・)

もし、PCR検査を対象を制限せずに検査希望者全員に行ってしまうと、医療現場は混乱し外来機能が低下してしまうことになり医療崩壊につながる可能性もあります。正しい知識を身に着けて検査を行うべきです。
(どこかの国のようにドライブスルーのように希望者全員を検査することなんて・・・とんでもない!!正しい知識があればそのような判断にはなりません。)

なお、PCR検査は保険適応になりましたが、その検査の実施は厳格な院内感染防止策が行える医療機関に限られるため、当院を含め多くの診療所・病院は対応できません
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しての治療は確立されていない以上、現在の私達にできることは予防しかありません。

1.手洗いの徹底:外出先から帰宅した際や食事の前には石鹸での手洗いやアルコールの手指消毒を行う
2.咳エチケット:咳が出る場合はマスクを着用する
3.人混みを避ける
4.発熱や風邪症状があるときは学校・会社を休む
5.風邪の症状があれば毎日体温測定を行う

しばらくはウイルスとの持久戦が続きますが、ひとりひとりの力でこの危機を乗り切りたいものです。

【神戸市民・50歳以上の偶数歳の方】胃がん内視鏡検診は3月末までです!!

2020/2/27
内視鏡検診
 当院では神戸市胃がん内視鏡検診を行っています。神戸市在住の50歳以上の方で、今年度(3月末まで)に偶数歳になる方が対象です。今年度の対象年齢の方は4月以降(令和2年度)は内視鏡検診を受けることができませんので、内視鏡検診を検討されている方は3月末までの検診をお忘れないようにお願いします。


昨年は年度末に駆け込みが多く、結果的に3月末までに検査ができずお断りする方がいました。
検診を検討されている方はお早めに当院までお問い合わせください。

【日本の論文紹介】納豆を食べると死亡リスクが低下する!

2020/2/26
納豆
日本人は納豆や味噌といった大豆発酵食品を日常的に食べています。「納豆は健康にいい!」と言われていますが、その知られざる健康パワーが最近明らかになってきています。
今回は、最近発表された日本人を対象に研究された論文をご紹介します。

納豆などの大豆発酵食品の摂取で、心筋梗塞などによる死亡のリスクがが低下する

国立がん研究センターから発表された日本人を対象とした研究論文をご紹介します。
この論文では「JPHC研究」という大規模なコホート研究から得られた成果をもとに発表されています。JPHCは日本人を対象に、いろいろな生活習慣とがん・脳卒中・心筋梗塞がどのように関わり合いを持っているかを調べた大規模な研究です。

健康食品として大豆は注目を浴びています。これまでにも納豆や味噌といった大豆発酵食品の摂取と血圧との関係や納豆の摂取と死亡リスクを研究した論文はありましたが、研究ごとに結果が異なるものもあり、一定の見解が得られていません。この論文では多目的コホート研究において、大豆食品、発酵性大豆食品摂取量と死亡リスクとの関連について検討されています。

循環器病になっていない人から5年間に得られたアンケート結果より、総大豆摂取量・発酵性/非発酵性大豆食品摂取量・各大豆食品(納豆・味噌・豆腐)摂取量を量別に5つのグループに分けて検討されました。その後約15年間の追跡期間の総死亡・がん死亡・循環器疾患死亡・心疾患死亡・脳血管疾患死亡)との関連を男女別に調べました。

結果をまとめると以下の通りです。
・総大豆摂取量と死亡率には男女とも相関がなかった
発酵性大豆食品の摂取が多い人は男女とも死亡リスクが低かった
・各大豆加工食品のうち、女性では納豆・味噌の摂取量が多い人は死亡リスクが低かったが、男性にはその傾向がなかった。豆腐にはは男女ともに死亡率低下の傾向はなかった。
・死因別の検討では、いずれの食品もがん死亡低下の傾向はなかったが、循環器病の死亡率は男女とも納豆の摂取量が多いほど低下が認められた。特に、納豆を1日に50g以上摂取している人は摂取していない人よりも循環器病の死亡リスクが10%低かった


引用 Association of soy and fermented soy product intake with total and cause specific mortality: prospective cohort study
BMJ 2020; 368 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.m34 (Published 29 January 2020)
Katagiri R1, Sawada N2, Goto A1, Yamaji T1, Iwasaki M1, Noda M3, Iso H4, Tsugane S1; Japan Public Health Center-based Prospective Study Group.
健康
日本人の伝統的な食生活の中で、大豆発酵食品である納豆や味噌は欠かせないものです。日本人は納豆や味噌を多く摂る食習慣が死亡率を下げ、長寿につながっていることが示唆される研究です。特に納豆1パック(約50g)を毎日摂取することで、心筋梗塞などによる循環器病リスクが低下したという結果は、欧米化した日本人の食生活を見直すきっかけにしたいところです。
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